Gさんは、突然のことで「もっと何かいいアドバイスが
できなかったか」と悩んでくださった様子。
ありがたく、もったいないことである。
子育ては修行、との、私の言葉を受けて、「子どもに育てて
もらっているのだと思って、この時期を乗りきりましょう」と。
同じ悩みを抱える人からの言葉は、その分深く心にしみる。
「きっと子どもも、親の子とはよくわかっているのだと
思いますよ。ただ自分の気持ちを整理できなかったり、
上手く思いを伝えられなかったりするのでしょうね。」
本当にそう。
「大丈夫ですよ、太郎くんは。」
この言葉に、ふいに涙があふれてきた。
Gくんが2年生、太郎が1年生のときから
6年間、ともに子育てしてきて、
太郎のことも、よくわかってくださっているGさんの言葉だ
からこそ、心の底から元気づけられる。ありがとうGさん。
帰宅すると、またテーブルの上にメモが置いてあった。
性懲りもなく、「夕食はいらないよ」。
月曜夜の「夕食いりません」より、くだけた感じ。
そこに、小さな字で、「今日、雪が降った」
「クラスで休んでいるのは金曜5人、月曜6人、火曜6人」
「学級閉鎖になるかもだって」と書いてある。
ほら。本当はしゃべりたいんじゃない! しゃべれないって
不便でしょ? 笑ってしまいそうになったが黙っておく。
「ふうん。今日も夕食食べないの? もう食べたら?
お父さん出張で、遅くまで帰ってこないよ。
今日は鶏団子と春雨のスープだよ」
太郎は困った子犬のような表情をしたあと、すんなりと
夕食のテーブルにつき、ご飯もてんこもりにして食べた。
こんなにお腹がすいていたのに、意地を張っていたのね。
いつもと違うのは、もう、太郎がしゃべらないことだけ。
困ったことや、悲しいことは、身振りと筆談で伝えてくる。
「しゃべらないと、表情が豊かになっていいわねえ~」
そんなことを言う余裕も生まれてきた。
悔しそうに、でも笑っている太郎。
夫の帰宅前に、3日ぶりに入浴した太郎は、
いつになくぐっすりと眠れたようだった。
次回に続く。